「ただ、君を想う」(FF4エッジ×リディア)
7
城の中を駆け抜けるエッジ。何か重大なことでも起きたのかと、すれ違う兵士たちは不思議に思う。
(本当に来てるんだよな?)
半信半疑のまま走り続け、とうとう部屋の前までやってきた。すぅっと大きく深呼吸し、息を整える。そして扉を開けると、そこにはずっと待ち焦がれていたリディアの姿があった。
「これって現実なのか・・・」
エッジは我が目を疑う。リディアは待ちくたびれたのか、寝台の上で眠っていた。
(無防備で寝やがって、まったくよ・・・)
エッジは寝台の端に腰掛け、リディアの髪に触れる。整った顔立ち、透き通るように白い肌。乱暴に扱うと壊れてしまいそうな華奢な体。この小さな体のどこにあれほどの召喚魔法を使う力が秘められているのだろうか。エッジは不思議で仕方がなかった。
そうしてしばらくの間リディアの髪を弄っていたが、一向に起きる気配はない。このままにしていると日が暮れてしまいそうだと思い、エッジはリディアを抱き上げた。
「・・・へ? あれ? ここどこ?」
「寝ぼけてんのか?」
「あ、エッジ。おはよう・・・ふぁぁ」
まだ半分寝ぼけているリディアは欠伸をしながら目を擦る。眠たそうにしながら甘えるようにエッジに抱きついた。
「もう少しだけ・・・」
「おい、ちょ、起きろって」
リディアはそのまま眠ってしまった。
「おまえ、もう少し俺の気持ち考えろよな・・・」
調子を狂わされたエッジは気が抜けたようにして寝台の上に倒れる。腕の中で眠るリディア。その顔はとても幸せそうだった。
(ここまで来るのに時間かかったな・・・)
今まで散々アピールしてきたものの、寸でのところで踏み出せずにいた。長年の想いを打ち明けた時も自信はなかった。だが、リディアは今こうして腕の中にいる。エッジは込み上げてくる喜びを噛みしめた。
「エッジ・・・」
「お、起きてたのか?」
「うん・・・どうしたらいいのかわかんなくて」
リディアは照れくさそうに笑うと体を起こした。
「驚いた?」
「当たり前だろ。俺は・・・」
エッジは熱くなってきた顔を隠すように手で覆った。リディアはその手を取り、満面の笑みを浮かべた。
「遅くなってごめんね。でも、これからはずっと一緒だから」
「リディア」
エッジは起き上がり、リディアをギュッと抱きしめる。
「嘘じゃないんだよな? 本当なんだよな?」
「うん、嘘なんかじゃないよ。わたし、エッジと一緒にエブラーナに行くから・・・」
二人は見つめ合い、どちらからでもなく互いに近づき、唇を重ねた。これまでの時を埋め合わせるかのような長い長い口づけ。息苦しくなったリディアが身じろぐと、エッジは名残惜しそうにリディアを解放した。
「エッジ」
「ん?」
「大好き」
「ば、な、何言ってんだ」
耳まで真っ赤に染まる様子を見て、リディアはクスクスと笑う。
「みんなに教えないとね」
「そうだな」
二人は手を取り合い、城の主であるセシルの元へ向かった。