「ただ、君を想う」(FF4エッジ×リディア)
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リディアは食後にお茶を入れて、それをエッジに差し出す。
「遅くなってごめんね。わたしに話があってきたんでしょ?」
「ああ・・・」
「なんの話なの?」
「・・・落ち着いて聞いてくれ」
いつもよりも真剣な面持ちで話すエッジに、リディアはただならぬ気配を感じた。
「俺さ、そろそろ身を固めようと思ってよ」
「え?」
「だからおめえに、ちゃんと話しておきたかったんだ」
「ちょっと待ってよ。どういうこと・・・」
リディアは意図が読めず困惑する。
「俺もいい年だからな。世継ぎはまだかとか王位継承がどうとか、じいたちがうるさいんだ」
「・・・エッジは、どうしたいの?」
「俺か? 俺はその答えを出しに、ここへ来たんだ」
張り詰めた空気の中、リディアはゴクリと息を呑み、次の言葉を待った。
「リディア、俺と結婚してくれないか?」
リディアはその言葉に一瞬目を丸くし、そして困ったように俯いた。
「わ、わたし・・・」
「急にこんなこと言って悪いとは思ってる。もし、この話を受けてくれるなら、10日以内にバロンへ来てくれ。10日経っても来なければ、俺は諦めてエブラーナに帰る」
エッジは早ければ今日にでもバロンへ発つつもりでいた。
今回の視察はバロンの王であるセシルとの会見が一番の目的だった。だが、国内での世継ぎ問題がもつれ込み、自分自身で決着をつけるために、ここミストへやってきたのだ。
二人はしばらく無言のまま、静かに時だけが流れていった。
「・・・俺、そろそろ行くわ」
「え? 外真っ暗だよ?」
「宿に泊まるから大丈夫だ」
「そんな、泊まっていけばいいのに・・・」
「バカなこと言うなよ。それってOKってことか? それなら遠慮なく泊まってくけどな」
「あ・・・」
「冗談だ。ま、ゆっくり考えてくれ」
そうしてエッジはリディアの頭をぽんぽんと撫でると、そのまま家を後にした。リディアは暗闇に消えていく後ろ姿に寂しさを感じていた。
(もう、今までどおりではいられないの?)
いつかこうなることは、リディアも薄々感づいてはいた。だが、実際にその時がやってくると、どうしていいかわからない。
(エッジ、わたしは・・・)
リディアは眠れない夜を過ごした。
そして翌日、エッジはミストを後にし、バロンへ向かった。