「ただ、君を想う」(FF4エッジ×リディア)
1
(今頃どうしてっかな・・・)
3日前のこと―――
エッジは各国の視察という名目で、ミストの村を訪れていた。ミストの村には復興のために幻獣界から戻ってきたリディアがいる。
「よっ、リディア」
「あれ? エッジ、どうしたの?」
「ん、ちょっとおめえに用事があってよ」
「わたしに? じゃあ家で待ってて。すぐ行くから」
エッジは言われたとおり、リディアの家へ向かう。道案内などいらない。何度も訪れているため、村の地理は頭に入っていた。そうして村の様子を見ながら歩いていると、村人たちがすれ違うたびに挨拶をしていく。
(・・・ここはもう大丈夫だな)
無邪気に走り回る子供たち。近くでは大人たちが井戸端会議をしている。村は壊滅した以前よりも活気づいていた。
元々小さな村だったが、バロンや他諸国からの援助もあり、復興のために多くの者が集まった。そして復興した今、そのまま村に住みついている者も多い。今ではたった一人の召喚士としてミストの村を代表するリディアは、あちこちから声を掛けられ引っ張りだこだ。いつだって元気に振る舞ってはいるが、もう少し休んだ方がいいとエッジは思っていた。
すぐ行くから―――
エッジがリディアの家に着いてから、半刻ほど過ぎた。
(あいつ、俺がエブラーナの王だって思ってないだろ・・・)
王だからといって特別扱いして欲しい訳ではない。他国の王たちにも同じ扱いをしているのではないかと心配になる。
(俺はいいけど・・・ ま、リディアだから許されるだろうけどな)
そうしてエッジはリディアを待ち続けた。
それから更に半刻が過ぎた頃―――
「エッジ、お待たせ・・・って、あれ? 寝ちゃったの?」
リディアはエッジの寝顔を覗き込むようにして見る。年の割には若々しくあどけない寝顔。クスっと笑うと風邪を引かないように、そっと毛布を被せた。
エッジが目を覚ました頃には、外はすっかり日が落ちていた。
(しまった、寝ちまったか・・・)
掛けられていた毛布をたたんでいると、どこからか香ばしい匂いがする。その匂いを辿ると、リディアが夕食を作っていた。
「あ、エッジ。もう少しでご飯できるから待っててね」
「なんか手伝うことねえか?」
「大丈夫だから。エッジって王さまらしくないよね」
「ん? そうか? これ、運んどくな」
用意されていた皿をテーブルに運ぶ。そして洗ったまま無造作に置かれていた野菜を手際よく切り皿に盛る。
「エッジって、ホント器用だね」
「これくらい出来なきゃ、一人で修行なんて出来ねえよ」
エッジの言うことはもっともだが、一国の王が一人で修行するというのも珍しいとリディアは思う。
食事の準備が整い、椅子に腰掛けると、二人はそれぞれ食事の作法を取る。エッジは手を合わせ一言いただきますと言い、空いていた腹を満たすかのようにがっつき始める。リディアは短い祈りを捧げると、ゆっくり味わうように食べ始めた。
そしてリディアが食事を終えるまで、エッジはじっと待っていた。