「見つめる瞳と10の言葉たち」(FE蒼炎ボーレ×ミスト)

寄り添う寝顔

目を開けると、目の前には彼女の顔があった。
一瞬驚いたが、自分の身に起きたことを思い出し、大きく溜め息を吐いた。

くそっ、またやっちまった・・・

無茶しないで、と言われたばかりだった。
それなのに無茶をした。
たとえ誰かを助けるためだったとしても、一人で無茶をしたことに変わりはない。
彼女はずっと付きっきりで看病していてくれたのだろう。
その顔は疲れ切っていた。
ボーレは毛布をかけ、そっと優しく頭を撫でた。

「ん・・・ ボーレ、目が覚めたの? 良かった」
「約束破ってごめんな」
「ううん、ボーレのおかげだよ。 二人とも無事で良かったね」
「そっか、あいつも無事だったか。 怪我治してくれてありがとな。
あとのことは俺に任せて、ミストはここで休んでろ」
「うん、そうする。 ありがとう」

そして、再びミストは眠った。
余程疲れていたのだろう。
ボーレはただミストに感謝するしかなかった。
すると、慌てた様子でアイクがやってきた。

「ボーレ、目が覚めたのか。 ミストは・・・」
「疲れて眠ったとこだ」
「そうか。 ボーレも今日はゆっくり休んでくれ」
「俺は大丈夫だ。 おまえこそ休んだ方がいいんじゃないのか?」

アイクは予想していなかった返答に驚いた。

「・・・俺はまだやることがある。 次の戦いに向けて、ボーレは休んでてくれ。
これでも頼りにしてるんだからな」

これまた予想していなかった返答にボーレは驚く。

「・・・わかった。 じゃ、もう一眠りするわ」
「ああ、そうしてくれ」

そして、アイクは天幕から出ていった。
ボーレはまだあちこち痛みが残っていたため、実は起き上がるのもやっとだった。
ミストの手前、心配させまいと装っていた。
だが、アイクから休めと言われたのだから、これほど嬉しいことはない。
寝台に戻り再び横になる。
隣では寄り添うようにミストが眠っている。
穏やかな寝顔がボーレに安心感を与える。
そして、ボーレも再び眠りについた。

◆ あとがき ◆
幼馴染でもないけど、自然体でいる二人の関係がホントに大好きです。
ボーレはミストに心配かけたくなくて、つい無理してしまうんですが、それを見抜くのは兄たち二人かなと。
アイクとオスカーはすぐ気付きそうな気がします。
あと、アイクはボーレを信頼してるから、ミストを任せるんですよね。
ただ、うちのボーレはヘタレだから、二人っきりでもミストに何もできないんです(笑)
(2009年2月22日)