「見つめる瞳と10の言葉たち」(FE蒼炎ボーレ×ミスト)
雨に濡れた頬
戦いの最中、雨が降りだした。
始めは小降りだったが、いつの間にか本降りになったため、撤退命令が出た。
本陣へ戻る途中、誰かを探している彼女を見つけた。
声をかけると、慌てた様子で駆け寄ってきた。
「ボーレ、無事で、良かった・・・」
息を切らしながら、途切れ途切れに言う。
雨に濡れているというのに、頬は真っ赤だ。
一体、こんなになるまで誰を探してたんだ?
「・・・誰か探してるのか? アイクか?」
「お兄ちゃんにはさっき会ったよ」
「だったら・・・」
「ボーレで最後。 みんな無事だよ」
俺だったのか。
こんなになるまで、雨の中をずっと・・・
後方支援にあたっているミストは一番本陣に近いところにいる。
本来なら先に天幕の中で休んでいるか、負傷兵の手当てをしているはずなのだが、
団員たちが心配で雨の中探していたのだ。
「・・・心配かけたな」
「ううん、そんなことないよ。 わたしが、ダメなだけだから・・・」
ミストはある時から人一倍、団員が傷つくのを恐れるようになった。
団員は家族だ。
家族を守るためには、もっと強くならないと・・・
決意にも似た思いで心に誓う。
「ほら、早く戻ろうぜ。 ミストの杖を必要としてるヤツは、たくさんいるんだからな」
ミストを励ますように、ポンと優しく頭を撫でる。
顔を上げたミストは、嬉しそうに微笑んだ。
この時、ミストの頬がさらに赤くなったことに、ボーレは気づかなかった。
◆ あとがき ◆
今回はボーレ視点で。
互いを意識し合っていても、互いの想いに気付いていないという関係が好きです。
周りで見てる方はもどかしいでしょうけど(笑)
初々しさが伝わればいいなと思います。
最後に、気付かなかったのは、うちのボーレは鈍感ということです。
(2008年12月21日)