「見つめる瞳と10の言葉たち」(FE蒼炎ボーレ×ミスト)
髪に触れる爪先
わたし、寝ちゃってたんだ・・・
隣で眠る者の看病をしていたはずが、いつの間にか疲れて眠っていたらしい。
どれくらい時が経ったのだろうかと外を見ると、すっかり日は暮れて真っ暗だった。
今もまだ目を覚まさない。
怪我をして運ばれてきた時は、あまりにも血まみれで気が動転してしまった。
一体何があったのか、兄は何も言ってくれない。
早く起きてよ。
わたし、すごく怖かったんだから。
ね、お願い・・・
そして、そっと髪に触れる。
短くて少し固めのその髪は、緑色をしていてまるで芝のようだ。
手触りが良くて撫でていると、小さなうめき声がした。
「ここは・・・? そうだ、ヨファは!?」
慌てて体を起こしたが、体に激痛が走りその場に埋まる。
「ダメだよ、まだ寝てなきゃ」
ミストは寝台へ寝かそうとしたが、制止するかのようにその手を握られる。
「ミスト、ヨファは?」
「ヨファ? ヨファはさっきみんなと一緒に戻ってきたよ」
「そっか・・・」
そして、力が抜けるようにして寝台へ倒れ込む。
ミストは手を握られたままだ。
「ちょ、ちょっと、ボーレ・・・」
再び眠ってしまったボーレは、当分起きそうにない。
すると、慌てた様子でヨファが天幕の中に駆けこんできた。
ミストは握られた手を隠すように、近くにあった手拭いを広げる。
「ミストちゃん! ボーレは?」
「今、起きたけど、また寝ちゃった」
「・・・無事で良かった」
「何が、あったの・・・?」
「ボーレ・・・ 僕をかばって、それで・・・」
「そうだったんだ・・・」
ミストは先ほどのボーレの様子に納得がいった。
ただ、手を握られていることを知られるのが恥ずかしいと思い、
それ以上は何も聞かなかった。
「ミストちゃん、ボーレのこと、よろしくね」
そういって出ていったヨファに、ミストはホッと胸を撫で下ろす。
穏やかな寝息を立てて寝ているボーレの顔を覗き込む。
起きる気配はまったくない。
そして、握られた手を握り返す。
空いている方の手で、そっと優しくボーレの頭を撫でた。
・・・今だけだからね?
◆ あとがき ◆
ボーレがミストの髪に触れるのは、もうちょい関係が進展してからでしょうね。
きっと恥ずかしくて真っ赤になるんでしょうけど(笑)
身長的にミストがボーレの髪に触れることって滅多にないでしょうけど、こういう場合ならアリかなと思います。
(2008年12月6日)