薄桜鬼SSL 土方×千鶴

ハッピーバレンタイン

昼休み。
職員室へ向かうと、すでにそこは女子生徒で溢れかえっていた。
遠くから中を覗いてみると目当ての人はいなかった。
こうなることがわかっていて姿を眩ませているのかもしれない。
いつも見かける場所を順番に見て回ったが、どこにも見当たらない。
そうしている間にチャイムが鳴り、諦めて午後の授業を受けに教室へ戻った。
授業が始まると目当ての人はちゃんと教壇に立って熱心に教えている。

一体どこにいたのだろうか。

そんなことを考えているとあっという間に午後の授業は終わってしまった。
帰りにもう一度職員室へ行くと教師たちがぞろぞろと会議室へ向かっていた。

「お、千鶴? どうしたんだ?」
「原田先生。これから会議ですか?」
「ああ、そうだが・・・ ひょっとして土方さんか?」
「え?」

まるで心の中を見透かされているような気がして、千鶴は顔を真っ赤にする。

「一時間ぐらいで終わるはずだ」

原田はニッと笑い、千鶴の頭をポンと撫でると、そのまま会議室へ行ってしまった。
一時間どこかで時間をつぶしてこいと原田なりの親切心だったのだろう。
図書室へ向かい本を借り、しばらく本を読んでいると閉館だと言われる。
ちょうど一時間ほど経っていたため、あわてて職員室へ行くと土方はまだ仕事に追われているようだった。
邪魔をしては悪いと思った千鶴は仕事が終わるまで待とうと土方が荷物を置いている国語科準備室へ向かった。
そこはめったに人がくる場所ではないため、人気はなくしんとしている。
暖房が入っていないため、吐く息は白い。
勝手に暖房をつけてはいけないと思い、千鶴は寒さをしのぐためコートに小さく丸まっていた。
そして、そのまま眠ってしまった。

「おい、雪村。起きろ。こんなところで寝てたら風邪引くぞ」

仕事が終わり荷物を取りに来た土方はまさか千鶴が眠っているとは思わず驚いた。
だが、すぐ冷静になり冷え切った部屋を暖めるためすぐに暖房を入れた。
体を揺さぶっても千鶴はなかなか起きない。
やれやれと溜め息をつき、優しく抱きしめ耳元でそっと囁いた。

「・・・千鶴」

びくりと体を震わせて千鶴は目を覚ました。

「と、歳三さん・・・?」
「ったく、寝惚けてんのか。ここはまだ学校だぞ、バカ」

そういって千鶴の鼻をつかむ。
もう、と千鶴は頬を膨らませながら辺りを見回して愕然とする。
外はすっかり真っ暗になっていた。
千鶴はバツが悪そうな顔をして俯いてしまう。

「おまえ、ずっと俺を待ってたのか?」
「え、あ・・・!」

何か大事なことを思い出したように鞄の中を探る。

「あの、これを・・・」

おずおずと紫のリボンがついた黒の包装紙でラッピングされた箱を土方に差し出す。
土方は何も言わず、それを受け取った。
受け取ってもらえた。
千鶴がホッと胸をなでおろすと、ぐいと腕を引かれ抱きしめられた。

「おまえは本当に・・・」

愛おしくてしょうがない。
その思いが溢れんばかりに腕に力が入る。

「く、苦しいです・・・」
「わりぃ・・・ でも悪いのはおまえだ」

土方は千鶴の頤をくいっと上げ、桜色の唇をまるで奪うように口づけた。
ん、とくぐもった声がしたが、お構いなしに気が済むまで続ける。
唇を離すと千鶴は顔を真っ赤にして口を開いた。

「もうっ! 土方先生のバカ! ここ学校ですよ!!」
「知るかよ。おまえが悪いって言っただろ?」
「だ、だからって、いくらなんでも・・・!」
「わかったわかった。あとで責任取ってくれるんだな?」

千鶴は目を見開いて、声にならない声を上げる。
土方はくっくっと笑いを必死に堪えながら、帰る準備を始める。
その後、千鶴がどうなったのかは土方のみぞ知る。

◆ あとがき ◆
バレンタインってことで何か書きたいー!とものの30分ほどで書き上げました。
滑り込みセーフでピクシブさんにアップしました(笑)
やっぱりバレンタインといえばチョコなので、SSLの設定になってます。何気に初SSLだったりして・・・。
(2012年2月19日)